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敗走記 [映画・TVドラマ]

ゲゲゲの女房、相変わらず毎日見ています。水木先生もすでに人気作家となり、忙しい毎日です。さて、ちょうど終戦記念日近くの8月18日放送回で、水木しげるの作品「敗走記」を絡めて戦争体験について描かれました。

8月中にこのストーリーを持ってくるあたりは計算されていると思います。これをどう演出するかはとても難しい。作り手のかの戦争に対する解釈がどうしても反映してくるからです。
原作があるといえど、ドラマは原作を再現するものでなく、再構築するものです。原作者とは別の製作者の考えが必ず反映される、そういうものだと思います。

前に、水木しげると戦記物というエントリーを書きました。この時「ラバウル戦記」を読んだのですが、水木しげる本人は、イデオロギー的な事は全然いってないんです。戦争反対とか悲惨だとか、そういうメッセージを含むものじゃない。

その時も考えてたのですが、じゃあ水木しげるは大量の戦記物を書いたのか。

きっと、起こった事をありのままに書くこと、その事が大事だったのだと思うのです。「ラバウル戦記」を読んだ時、初めに頭に浮かんだのが、大岡正平の「レイテ戦記」でした。(ちなみに私は未読です。教科書で書かれていたので知っている程度です)。ウィキペディアから引用すると、以下のように書かれています。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%86%E6%88%A6%E8%A8%98
『レイテ戦記』(レイテせんき)は、大岡昇平による戦記文学作品。太平洋戦争の“天王山”と呼ばれ日本軍8万4千人もの犠牲を生み出した(対して米軍の死傷者は1万5千人)レイテ島における死闘を、厖大な資料や多くのインタビューを取り、それらを紐解いて再構築したものである。本作によって、大岡は1972年に毎日芸術賞を受賞した。

背景という項目にはこのように書かれています。
大岡は1944年に召集され、フィリピン・ミンドロ島に派遣されたが、1945年1月にアメリカ軍の捕虜となり、同年12月に復員する。この体験を基に『俘虜記』『野火』などの小説を発表したが、いずれも一兵士の視点で語られた作品に過ぎなかった(前者は作者の実体験)。しかし、「損害が大きければ、それだけ遺族も多いわけで、自分の親族がどのようにして戦って死んだか知りたい人は多いわけである。それには旧職業軍人の怠慢と粉飾されすぎた物語に対する憤懣も含まれていた。」(あとがきから一部変えて抜粋)という考えに至り、この作品を手がけ、レイテ島で死闘した末に死亡した兵士達の鎮魂碑を打ち立てた。

現在から意味づけして過去を物語るのでなく出来るだけありのままに書くこと、それが大岡の考えた戦死者に対する弔いだったと思います。水木しげるがやろうとした事も、意図してやっている訳ではないけれど、きっとこれと同じような事ではないかと思います。

昔読んだ加藤典洋の「敗戦後論」の中で、この大岡の「レイテ戦記」に関する記述があったと思います。


ちょっと疲れてきたので、また後で続き書きます。


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