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映画「そして父になる」を観てきた [映画・TVドラマ]

最近は映画の回転がとても早くて大量の映画が上映させており、とりあえず有名作品という事で是枝監督の「そして父になる」を観てきました。


内容については宣伝やらなんやらで大体お分かりを思いますが、子供の取り違えを題材にしています。是枝監督の作品はだいたい見た方に判断してもらうという姿勢があると思いますが、この作品もそうです。多くの登場人物が出てきて主人公を中心として、様々な人間にフォーカスしていきます。その過程で、多くの観客は登場人物の中の誰かに感情移入していくと思います。それによって、様々な解釈が可能になってます。


その一方で、淡々と彼ら追っていくドキュメンタリー的な撮り方をしつつ、映画としての虚構を入れ込んでいくことのアンバランスさも感じました。まず、主人公のそれぞれの家族がデフォルメが強くて、それが虚構の面を強くしすぎているような気がします。アイドルという浮世離れした存在の福山雅治の、ありえない感じのエリート(一流企業の平リーマンはあんな暮らししてない)の一方で、リリーフランキー側も、えらい貧乏くさい所が強調されている。これらは監督の意図している所だとおもうのですが、観客に「こんな家庭あるでしょ?」と言いながら提示されている家族像が、なぜかどこにもいないような家族に感じられました。


この映画の中で、私は泣いちゃったんですが、それは血縁上の親である金持ち家庭に戻ってきた、貧乏家庭で育った子供が、キャンプごっこをしながら川の字に並んで、「むこうのパパとママのおうちに帰りたい」間髪いれず「ごめんなさい」といって顔を手で覆うシーン。そりゃ哀しいよね。ぐっと我慢していたものがポロリと出てしまったこのシーン、とてもリアリティがあって、琴線に触れまして。


子供の素の演技ってすごい。もうひとりの子供はしっかり演技している方なんですが、そっちの子よりインパクトがありましたねえ。


それに引き換え、福山雅治にまつわるシーンはどれも嘘くさくてなんだか、気持ちが入りません。親父が離婚して義理の母に育てられた事、親父夫婦はボロアパートの貧乏暮らしな事、実家が貧乏なのにただのサラリーマンが高級マンション住まいでレクサスに乗って車通勤している事、なんかしらんけど突然キャラがはっちゃける点、元息子が自分の写真を撮っていた事で突然泣き出すシーンなど。映画の当初よりデフォルメが利いたキャラという事もあり、なにか内面の葛藤を感じることが出来ない。だから、心の変化が掴めなくて、すべてが唐突に感じてしまいます。


いろんな見方が出来る映画です。よくわからん邦画よりもやっぱりおもしろいと思います。一度ご覧あれ。
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