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大分トリニータの躓き 4 [クラブ経営]

さて、今回も前回に引き続き大分トリニータの経営破たんの原因について考えてみたいとおもいます。今回は、実質的に大分トリニータを育ててきた元社長、溝畑氏の経営手腕についてです。


溝畑氏の経営の大きな特徴のひとつは、一貫して拡大路線を続けたという点です。94年の発足当初より資金不足でしたが、勝つことから編成を考えて予算を組んでいき、必要な資金を集めるという感じのやり方です。

収入規模からチームをつくるのではなく、こういうチームを作るからこれだけ必要。とにかく、予算が先なので、収入は不足し毎年自転車操業です。朝日ソーラーやペイントハウスが社業の傾きから撤退し見通しが立たなくなっても、チームを縮小する事はしませんでした。

98年、J2リーグ発足に伴いJリーグへ参入するという大きな転機が訪れます。 Jリーグ参入の為に運営会社であるクラブは法人化を求められていたのですが、前年にJFL12位という芳しくない成績、3億5000万まで膨らんでいた運営費や数億の負債に見られる不安定な財務状況など、地元財界や官、民からも反対する声も少なくありませんでした。

そうした状況の中で、溝畑氏は98年周囲の反対を押し切って前年から1億上積みし4億5千万の予算を組み大型補強をします。J参入を周囲に納得させるために結果を求め、その為の大型補強でした。結果として6位という結果を得ますが、こうしたピンチに後先考えず補強するというやり方は、その後も繰り返されます。


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大分トリニータの躓き 3 [クラブ経営]

大分トリニータの破たんの原因について引き続き考えています。今日はずっと恵まれなかったスポンサーについて書いてみようかと思っています。

トリニータといえば変なスポンサーがつくことで、部外者からはかなりネタにされてきました。Jリーグ規約でユニフォームスポンサーになれなかったマルハン、あっという間に大きくなりあっという間につぶれてしまったペントハウス、マルチ商法で業務停止命令を受けたフォーリーフ、仕手筋がらみのいわくつきのユニオンHD・・・とにかく普通の企業の方が珍しいといった面々です。ウェブ上にはこんな記事もありました。


問題企業の“パス回し”に翻弄された大分トリニータ
不祥事を起こすスポンサーばかりが集まる
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20091120/210266/?rt=nocnt
(要読者登録)


これらのスポンサーは、ほとんど大分に縁もゆかりもない企業です。上記の記事中にも指摘がありますが、大分の大口スポンサーは首都圏など他の大都市圏の企業が占めていました。というのも、前回の記事で指摘した通り、発足当初より地元経済界の支援を取り付けられずスタートしたため、地元の積極的な支援を受けれずにいたのです。

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大分トリニータの躓き 2 [クラブ経営]

前回、J1に上がった地方クラブの一例として大分トリニータについて考えてみました。大分トリニータは財政破たんしましたが、これからのクラブの反面教師とする為、その原因について少し掘り下げて考えたいと思います。今回は、このクラブの起源が県庁主導のクラブであったことについてです。


・出自が大分県庁主導の官製のクラブであった事
結論を先にいいますと、官製クラブ自体が悪い訳ではないのです。官のみが半ば強引にクラブ作りを推し進めた為に、地元との協力関係を築くことができなかったのです。

大分トリニータのクラブの起源を紐解いていくとこんな感じです。

  1994 3月、平松守彦大分県知事(当時)が県議会でワールドカップ招致のために
      地元にサッカークラブを作る事を宣言
      4月8日大分FC発足。当初のチーム名は大分トリニティ。
       この年、県1部リーグより参加し、リーグ優勝し翌年九州リーグに昇格
  1995 九州リーグ優勝
  1996 1月地域リーグ決勝大会で準優勝し、JFL参入を決める。
      JFL初年度、13勝17敗の10位
  1997 この年、監督、選手を一新し、プロ化が進められる。JFL12位。


大分トリニータの起源は、2002年WCの招致活動を日本サッカー協会がはじめていたのに呼応して、その開催候補地として大分県が名乗りを挙げ、招致条件としてサッカークラブの存在が不可欠な為、知事主導で作られたチームなのです。
この時、知事を開催地招致活動への参入を焚き付けたのが、1990より自治省から赴任してきていた、後の社長、溝畑宏氏です。
クラブは、チーム発足から1年9ヶ月でJFL昇格という最短記録で参入を決定し、破竹の勢いで急成長していきます。

問題だったのは、県庁のみが突出していて、住民も、企業も、クラブ作りに賛成でなかった点。


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大分トリニータの躓き [クラブ経営]

大資本の後ろ盾のない地方クラブで、J2からJ1に昇格し定着し続けているチームが幾つかあります。すぐに思いつくのが新潟。そして大分も、資金繰り問題が露呈するまで、ナビスコカップを取るなど順調に見えていました。J1一桁順位と、クラブ自体はかなり力をつけてきておりました。下部組織からも優秀な人材を次々と輩出し、今思えば資金さえ集まれば面白い存在ではありました。


大分の経営破たんは大々的に報じられ、社長である溝畑宏氏がかなり槍玉に挙げられていました。2008年にはナビスコカップを制し、溝畑社長はかなりメディアに露出して、やり手の経営者として賞賛を浴びていました。まさかその翌年に、J2降格とともにこれだけ叩かれるとは思ってもみなかったでしょう。


大分の件は、とにかく溝畑宏氏の放漫経営として報道がされており、事の詳細はあまり理解していませんでした。地方クラブとしての生き残りの反面教師として大分の経営破たんの問題を詳しく知りたいと思って調べているうちに、とても素晴らしい本に行き着きました。





社長・溝畑宏の天国と地獄 ~大分トリニータの15年

社長・溝畑宏の天国と地獄 ~大分トリニータの15年

  • 作者: 木村 元彦
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/05/25
  • メディア: 単行本





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新たな挑戦 [クラブ経営]

今回はクラブの成長戦略について考えてみたいと思います。サガン鳥栖の2010年の運営費が約8億、来年2012年度が11~12億になる予定です。これは3つ前の記事で書きました。そして、11億という運営費の規模は、現実的にはJ1最下位、J2の中位の上ぐらいの規模でしかありません。

ほぼ同じような予算で推移したのが、2009年昇格の山形。
山形は、J2で昇格を決めた2008年7億、昇格した2009年11億、2010年12億、今年はまだ数字がでていません。少しずつ予算を拡大して来ていました。

http://yamagata-np.jp/monte/genre_11/kj_2011012600022.php

大事なのは、この記事の最後の部分。
観客動員に対する見通しの甘さが大きく影響した一方で、入場料収入は3億4900万円、広告料収入は2億3000万円と、それぞれ09年より1000万円、3600万円の増収が見込まれている。徐々にではあるが、チームの“身の丈”が伸びているととらえることもできる。


J1に居続ける事で、クラブのサイズが徐々に大きくなっていったという事実。今年度残れば3年目という事で、さらにクラブ基盤は大きくなったと思いますが、残念ながらJ2に降格してしまいました。


J2に落ちると、クラブは運営費を絞らざるを得ません。J2ではどうしても営業収入が伸びません。

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監督 [クラブ経営]

前回からの続きです。

前回は、監督を継続させたことによる成功とそれを支えるクラブの哲学について書きました。こう書いたからといって、なんでもかんでも監督を続けさせた方がいいという訳ではないと思います。フロントが現場を見て、選手と監督の信頼関係やサッカーの方向性など、将来的にいけると判断した上での決定だと思いますが。


貧乏クラブは長期政権が結構多いです。岐阜など本当に困窮したクラブは別で、監督やチームが劣悪な条件を強いられており、それにより監督が長続きしません。こういうスパイラルに入ると、クラブを存続するのがやっとでなかなか地力がつきません。そういうギリギリのクラブは覗いて、J2クラブは基本的にそんなに監督が変わりません。


というのも、お分かりと思いますが、J2中規模のクラスのチームは、監督を交代するコストがもったいないのだと思います。今季途中で監督が変わったのは、間違えてなければJ2では財力のある千葉のみ。監督を変えると、なかなか大変です。コーチスタッフも監督の右腕だったりしますし、途中でチームも作り直しです。

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クラブの哲学 [クラブ経営]

前回のJ1昇格とこれからの現実の続きです。

先日スカパー無料デーに乗じて、Jリーグアフターゲームショーの特番・Jリーグ アフターゲームショー FINAL(第三部)というのを録画して視聴しました。出演者は、MC:野々村芳和 アシスタント:日々野真理 ゲスト:田中孝司、水沼貴史、城福浩、福田正博、北條聡(サッカーマガジン編集長)、川端暁彦(エル・ゴラッソ編集長) こんな感じです。


現役の指導者が多かったせいか、監督に着目した話題が多く楽しめました。時にフロントとチーム、監督と選手、クラブの規模と戦術などに話題が及び、プロサッカーで勝つというのは、チームが頑張るだけでなく、多くの外部要因が絡まった結果だというのが改めて感じました。(ああ、あと福田は指導者向いてねえなあと思いました。言葉が下手だなあと思いますねぇ。)


今季優勝した柏のネルシーニョの話題では、J2降格してもネルシーニョに継続させる判断をしたフロントの姿勢が素晴らしかったのではという言及がありました。また、J2降格してチームを指導し続けたという点では、広島のペトロビッチも同様で、他のチームとは全く異なる独自の攻撃的スタイルを作りました。攻撃的スタイルと言えば、セレッソもそうで、クルピが指導し続ける事によって、攻撃的スタイルをつくりあげました。


ここで評価されるのは、結果が出なくても使い続けたフロントの姿勢です。一つ前の記事で2010年の運営費と順位をのせていますが、広島は11位の運営費で7位、セレッソは12位で3位の結果を得ています。柏にしても運営費はそこまで大きくはないはずです。


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J1昇格とこれからの現実 [クラブ経営]

今年で山形を退任する小林伸二監督の談話が、jsgoalにアップされています。小林監督は2002年に大分、2008年に山形と、過去に二度J2クラブを昇格させています。2005年にはセレッソであわや優勝というところまでいっています。ビッグクラブと言われるチームでなくとも、着実に結果の出せる監督と言えるでしょう。

http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/00129576.html

小林監督の談話をそのままテープおこしして書いてると思いますが、半分ぐらい何言ってるかわかりませんwそこをどうにか読み進めていくと、低予算のチームでも結果を残せる小林監督でも、いい選手を取る事、そういう選手を呼べるようにするための設備を整える事、これらをJ1への定着のポイントとして上げています。

・運営費と成績の関係
山形の運営費は、昇格初年の2009年で11億3600万円でダントツのビリ。同年のJ2の湘南、福岡と同規模。
http://yamagata-np.jp/monte/genre_11/kj_2011012600022.php
上記の記事中の運営費のグラフが非常にわかりやすいです。予算ブービーの2009年大分の予算が22億4000万なので、大分の約半分。この年は、大分(運営費17位)、千葉(11位)、柏(12位)が降格。当然の事ながら、運営費下位は降格しやすい。

2010年のJリーグクラブの経営情報はこちら。
http://www.j-league.or.jp/aboutj/document/jclub/2010-11/pdf/club2011.pdf
この年降格したのは、湘南(運営費17位/13億)、京都(13位/24億)、FC東京(9位/32億)
J12010シーズンの運営費と順位
2010j1.JPG
出典:2010年度Jクラブ個別情報開示資料 - J.LEAGUE
※営業費用を運営費として使用

今季2011年度はまだ期中なので経営情報はありませんが、降格が山形、福岡、甲府と、運営費が下位と思われるグループが降格。


運営費と成績の関係はすでに先行研究している学者さんがいると思うので、探したらいくつかあると思います。本来は統計を使って、運営費と成績の関係を見ないといけないところですが、時間がないので割愛します。このあたり研究されてる方のPDFが落ちてましたので、興味がある方はどうぞ。
http://www.econ.aoyama.ac.jp/workshop/1205fukuhara.pdf

上記のデータを見る限りでは、運営費とクラブの成績というのは、関係がありそうです。


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23.5.29サポーターミーティング議事録を読んでみた [クラブ経営]

先日、サガン鳥栖の運営会社であるサガンドリームスさんは、新社長を迎えられて初めてのサポーターミーティングを開きました。

これが議事録。

私は会議とか長いことじっとしているのがとても苦手なので、この手の会合には殆ど顔を出しません。気が向いたらたまにいきます。今回もいってません。いつも議事録がオフィシャルに上がるのは時間がかかりますが、今回ははやくも上がってるので読んできました。


文面を読む限り、新社長の竹原氏は、課題を適切に掴んでいる気がします。ただ、ここからが難しい。集客の強化、広告販売強化、当たり前といえば当たり前なんですが、具体的にどうするんだというところは本当に難しい気がします。スタジアムでのサービスの強化にしても、ハーフタイムショウなどコンテンツの強化にしても、効果は次第に少しずつ現れます。即効性を求めるなら、大口スポンサーになると思います。いずれにせよ、頑張って欲しいものです。


いくつか気になった点があります。ひとつは冒頭に書いてある
「これからサガン鳥栖というチームと、サガン鳥栖を運営するサガン・ドリームスの 2 つをしっかりと分けていきたいと考えております。クラブは人づくり、まちづくり、夢づくりを目標に、サガン鳥栖は J1 昇格を目標に活動していきたいと思います。」
という箇所。

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東京ヴェルディ、スポンサー内定の模様 [クラブ経営]

http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2010101900924

経営不振のためJリーグが運営に乗り出している2部(J2)の東京Vについて、大東和美チェアマンと東京Vの羽生英之社長(Jリーグ事務局長)は19日、来季以降のクラブ存続が確実になったことを明らかにした。新たな受け入れ先がほぼ固まったほか、スポーツ用品販売大手のゼビオと5年間の包括スポンサー契約を結んだ。 6月にJリーグ子会社のジェイリーグエンタープライズが東京Vの株式を取得し、羽生事務局長が社長に就任。リーグが加盟チームを直接運営する異例の方法で再建の道を探っていた。
 羽生社長によると、新たな出資者は個人を含む複数。Jリーグは29日に臨時理事会を開き、新たな出資者を承認する。「東京ヴェルディ」の名称はそのまま引き継がれ、本拠地も現在の味の素スタジアム(東京都調布市)を使用する方針。 


よかったですね。出資者がビッグだったらまた妬まれそう。出資によって債務超過を解消できれば、今期の昇格の可能性もあるそうです。高木兄弟など若手もブレイクしてますし、ユースも残ってますし、ヴェルディは蘇るかもしれませんね。


ただ、まだまだ課題もありいい話ばかりじゃないだろうし、これからもコツコツとやって欲しいと思います。派手な時代のOBもここぞとばかりにクラブに寄りかかったりしないように、気をつけなければなりません。


東京という有利な場所だし、優良なユース組織もあるし、いいクラブになってくれる事を願います。
タグ:クラブ経営
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